Signature Designer of the Month | vol.1 | Guy Eddington

Guy Eddington ▲ Guy(左から2人目)と、彼の価値観に影響を与えてくれている大切な家族の皆さん

Signature Designer = LOGAN atelierのトレードマークとして相応しく、また一人の人間としても尊敬できるデザイナーさん個人をピックアップして皆さんにご紹介していくページです。デザイナー/作り手の人となりを知り、普段お店には並ぶことのないデザイン細部に至るまでの想いを理解し、「ものづくり」への愛を感じて頂く事で、皆さんが少しでも彼らのデザインを長く愛用するきっかけの一助となれば代理販売として冥利に尽きます。

vol.1として特集させていただくのが、オーストラリアのパース出身、GE Designの『Guy Eddington』です。普段のデザインへのアプローチや今後の展望は勿論のこと、Guyさんが生まれ育った国のことや彼自身のことについて深く掘り下げて色々と伺いました。




——まず早速なのですが、知らない方が大半だと思いますのでGuyさんご本人の事について少し伺えますでしょうか。

生まれは西オーストラリア州の州都パースという街で、現在は36歳。36年間ずっとこの街に住んでいます。
普段は家族や友人たちと一緒に過ごすことが好きですね。あとは機会があればすぐに旅行しますし、音楽を聴くのも大好きです。1990年代中頃からはヒップホップにはまってよく聞いています。それとデザインを考えたり、その製作をしたりしている時間が本当に大好きです。 好きすぎて週末も仕事をする必要がないときには、家族や友人の自宅にはこんな家具を置いたら素敵じゃないだろうかとか、ふと気が付くと考えてしまっていて、実際に彼らのためのプロジェクトに週末を丸々と費やしてしまうほどです(笑)。
それに昔からスポーツは好きで、特にテニスとオーストラリアンフットボール(オーストラリア国内ではラグビー、クリケットと並ぶ3大人気スポーツの一つ)は今でも社会人チームで時々プレーしています。とにかく体を動かすことが好きで、よく海沿いを走ったり、ジムにも週2〜3で行っています。


——生まれ育った国について、地元の方から見たオーストラリアを少し教えて頂きたいです。

▲ パースの街並みとオーストラリアの風景

オーストラリアは大きな島です。その大部分は、起伏が多く険しい、多様で広大な景観が広がっています。 人口の大半は東オーストラリアの海岸線に点在する都市(シドニー、ケアンズ、ゴールドコーストなど)に集中していますが、私はそこから最も遠い西端の隅っこで暮らしています。
オージー(オーストラリア人の愛称)は大自然の中でバーベキューをしたりと、日常的にアウトドアを楽しんでいます。大抵の公園へ行けばバーベキュー設備が整っていて、誰もが自由に使う事が出来ます。もちろんタダで!また世界でも有数のビーチが幾つもあります。ハミルトン島のホワイトヘブンビーチなんかはきっと皆さんもご存知なのではないでしょうか?私も幸運なことにそんな素敵なビーチまで歩いてすぐの場所に住んでいます。先ほど話に出た東海岸の都市部と比較すると、一般的にここパースの生活はゆっくりとした時間が流れていて、「大きな田舎町」なんて呼ばれることもあります。オーストラリアは非常に多文化的で多様な国であって、それが故に皆がオープンマインドで、自然を受け入れる余裕が生まれるのだと思います。




——普段は何をされている時が一番楽しいですか?週末の過ごされ方など。

友人や家族と時間を過ごすことほど楽しいことはありません。それと最近はフィリーという名前のミニチュアダックスフンドの子犬を飼い始めたのですが本当に可愛くて一日中見ていても飽きません(笑)。
食というよりも「おいしいもの」に対しても興味が尽きることはなくて、それは所謂ご飯だけではなくて、コーヒーやワインにも及んでいます。自宅で料理することもありますし、時折素敵なレストランやカフェへ出かけたりもします。週末の一つの楽しみは、平日に見つけた気になるカフェで、パートナーとフィリーと美味しいものを食べ、コーヒーを飲みながらクロスワードパズルをすることです。子どもの頃に祖母が教えてくれてから今までクロスワードの大ファンなんです。
先週末はパートナーのTashと一緒にオーストラリアの首都であるキャンベラに行き、いとこを訪ねました。たいして観光をするわけでもなく、3日間のほとんどを、ふらっと立ち寄ったレストランが提供してくれる最高のご飯とワインを楽しみながら彼女と過ごしていました。
普段は大学で講師をしていますので、創作活動は主に週末に時間を費やしています。友人のためのプロジェクトにも多くの時間を割いており、最近では小屋裏部屋のデザインを手掛けています。おおよそ6か月前に構築を開始し、徐々に建物のように見え始めていますが、まだ屋根がありません!
夏はやはりビーチがすべてです。天気がよければ、平日は仕事前と仕事終わりに海で泳いでいます。あと週末は必ずと言っていいほどビーチですね。もう小さいころからの習慣になってしまっています。




——私自身も以前オーストラリアに住んでいたことがあるのですが、本当に素敵な国ですよね。話を聞いているだけでまた訪れたくなってしまいました。それでは徐々に本題に入っていくのですが、そんなGuyさんがデザイナーを志すきっかけとはどのようなものだったのでしょうか。

幼いころから常にデザインは傍にいた気がしますね。高校時代には美術を選択していたのですが、自分で言うのもなんですが成績は良かったんです。ところが高校の最終年になった時に、描くよりも作ることの楽しさに気づいたんです。というのも、自宅の部屋にテーブルが欲しいなと暫く思っていたのですが、試験中だったにも関わらず、勉強をあきらめて代わりに自室のテーブルを作ることにしたんです!
それ以来、デザインに対して親近感を抱いていることに気づいていたのですが、どこか胸の奥にしまっていました。そんなこんなで高校卒業後に大学で建築の勉強を始めることにしたのですが、すぐに自分自身に幻滅しました。あぁこれは自分の得意な分野ではないなと。そうして6年ほどテニスコーチを務めていたんです。ただそんな中でようやく立ち上がれて、より実用的なデザインアプローチを追求することを求めて、パースのCentral Institute of Technologyでプロダクトデザインコースを学び始めました。新しい世界と新しいアプローチに衝撃を受け、この決断は間違いではなかったと今でも一切振り返ることはありません。




——Never too late to startという言葉がありますが、何事も始めるのに遅すぎることはない。と夢を持った若者たちの背中を押してくれそうなストーリーですね。そんな今のGuyさんに影響を与えてくれたデザイナーさんはどなたかいらっしゃいますか。

2009年にCentral Institute of Technologyの卒業展示があったのですが、その時にMidland Atelier(非営利団体FORMが運営する若手デザイナー育成集団)の方数名から声をかけていただいたんです。 卒業後、招待され在籍を決めました。そこで出会った熟練デザイナーのJon Goulder、Nick StathamそしてAdam Cruickshankが大きな影響を与えてくれました。特にJonは私のメンターとしてデザインに対する思想や理念、そしてアプローチまで今も彼の考え方は私に根付いています。また彼らと一緒に働いていた3年間でEdward Barber、Jay Osgerby、Ronan and Erwan Bouroullec、Adam Goodrumなど、国際的に有名なデザイナーの皆さんとお会いする機会があり、この一人一人が少なからず今の私に良い影響を与えてくれています。




——多文化主義のオーストラリアで世界を舞台に活躍されるデザイナーの皆さん。きっとGuyさんにとっては多様な思想に触れる素晴らしい機会がそこにあったわけですね。ますます興味が湧いてきました。普段デザインするにあたってどの様なアプローチをとるのでしょうか?Guyさんの考えるデザイン美学とは?

常に自分の中で進化していると思いますが、変わらないものがあるとすれば、ミッドセンチュリー(1900年代の半ば)のスカンジナビアデザインでしょうか。 ただ間違いなくこれらの形状を参考にしてはいますが、よりインダストリアルなアプローチをとっています。それと地場の産業と素材を可能な限り活用することを支持しています。そのためDonny Stoolはオーストラリアの木材(Victorian Ash)を採用しています。 写真 写真 ▲ Donny Stool制作風景 *クリックで製品ページへ




——デザインするうえで常に目標や指針とされているモットーをお聞かせください。

”truth to materials, truth to fixings(素材に対しても、継ぎに対しても常に誠実に)” - デザインのすべての要素は誤魔化されることも覆い隠されることなく、着飾らずにありのままを開示し、称賛されるべきだという考えです。


——“オーストラリアらしいデザイン“の定義ってあると思いますか?

私たちは国として非常に広く、且つ折衷的なデザイン美学を持っていると思います。これはきっと周りの友人・家族を喜ばせたいという国民気質と同様に、多文化社会とオープンマインドに起因しているのかもしれません。
オーストラリアは世界的に見れば歴史が浅く比較的新しい国であり、他国ほどに伝統を意識していません。それゆえに、おそらくグローバリゼーションに左右されやすくなっていて、世界中からさまざまな影響を躊躇なく取り入れているのではないでしょうか。 とは言ったものの、そんな中でも“オーストラリアらしいデザイン“と呼ぶことができるユニークなデザインアイデンティティがまだあると思います。ただそれを定義するのは非常に難しいですね・・・。 もし仮にその”なにか“を表現する形容詞があるとすれば、オーストラリアの風景と同義語にあたる、粗野でたくましく、多様であり、手を加えていないありのままのものが“オーストラリアらしさ”でしょうか。




——このページを読まれている皆さんにだけ特別にLOGAN atelierにだけ未発表のプロジェクトについて少し情報いただけませんか?

現在は木製の椅子と、食器類のデザインに取り掛かっています。近々LOGAN atelierでも発表させて頂けたらと考えていますので楽しみに待っていてください。

<こちらの写真はなんでもキッチンウェアのプロトタイプなんだとか。ここからどの様な展開になるのか楽しみです。>


——それでは、最後に日本の皆さんになにか一言あれば是非。

私は日本文化の大ファンで、特に日本料理には目がありません!日本には2度行ったことがありますが街も人も景色も全てが大好きです。日本人はとても親切で思いやりがあります。また日本を訪れる日を楽しみにしています。






写真 Guy Eddington
家具・プロダクトデザイナー
オーストラリアのパース出身。Central Institute of Technologyにてプロダクトデザインを学び、その後Midland Atelierへと籍を移し後のデザイナー人生に多大なる影響を与えるメンターと出会う。現在も大学で教鞭をとりながら創作活動に励む。国内で有数のコンペであるDesign Institute of Australia (WA) AwardsやFurnishing Industry of Australia Awardsを受賞し、『Artichoke and lnsite』などの雑誌でも特集を持たれる今後の活躍が楽しみなデザイナー。

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