Signature Designer of the Month | vol.2 | Ashlee Lloyd

Ashlee Lloyd ▲ Ashleeとゴールデンレトリーバーの愛犬ルビー

Signature Designer = LOGAN atelierのトレードマークとして、また一人の人間としても尊敬できるデザイナー個人をピックアップして皆さんにご紹介していく特集です。デザイナー/作り手の人となりを知り、普段お店には並ぶことのないデザイン細部に至るまでの想いを理解し、「ものづくり」への愛を感じて頂く事で、皆さんが少しでも彼らのデザインを長く愛用するきっかけの一助となれば代理販売として冥利に尽きます。

前回に続きvol.2として特集するのは、南アフリカ出身、Studio Lloydの創立者であり、クリエイティブディレクターでもある『Ashlee Lloyd(アシュリー・ロイド)』さんです。特徴的なクロシェ編み(かぎ針編み)を取り入れるに至った背景や、影響を受けた日系アメリカ人アーティストの存在など、なかなか普段聞けない話を伺ってきました。




——早速ですが、まずはAshleeさんご本人の自己紹介を少しお願い出来ますか。

Ashlee Lloyd、26歳です。自宅も職場も南アフリカのケープタウンにあります。学生時代は工業デザイン/製品デザインを専攻しており、数年前にStudio Lloydという自身のデザインスタジオを立ち上げました。全て手編みで手作りのハイエンドの照明機器と、高品質のホームウェアを専門としているスタジオです。電気機器類、インタラクティブなインスタレーション(一方的に発信するだけでなく、双方向で対話をする手法)、工芸品/民芸品に興味があり、そして手作業という点にもとても魅力を感じています。




——南アフリカというと、なかなか持っている情報が少ないのですが、折角の機会ですので南アフリカはどういう国なのか教えて頂いても宜しいですか。

▲ ケープタウンの空中写真と街並み。ビーチいっぱいのペンギンに出会えるボルダーズビーチ(左上)や、絶景パノラマを堪能できる頂上が平らな山、テーブルマウンテン(左下)。

南アフリカは多様性に溢れる国で、自然の美しさ、フレンドリーな人々、そして美味しい食べ物に囲まれています。住むにはとても素晴らしい国なのですが、若い女性にとっては安全ではない地域も少しあったりします。他に良い面としては、南アフリカの地元企業は本当に素晴らしいです。一緒にお仕事させて頂いているサプライヤーの皆さんもとても良い仕事をしてくれるんですよ。南アフリカの人たちは常に前向きに企画立案をしてくれるので、とても良い関係性を築くことが出来ます。天気はいつも晴れているので、いつだってやりたい事で溢れています。その辺りには山が延々と連なっていて、夏には海岸へ行ってインド洋に浸かったりもしますよ。




——南アフリカを訪れたことのある友人がいるのですが、彼女も同じことを言って賞賛していましたよ。特に景色が最高だと言っていました。普段週末は何をされていますか?やはりビーチなどでしょうかね。

仕事に関して言えば、最近新しく初めての従業員を雇ったのですが、扱っている製品がすべて作れるようになるようにクロシェ編みの特訓なんかをしているんです。一緒に成長していけるのが本当に楽しいですね。個人的には友人や家族のために料理をふるまったり、ビーチで読書をしたり、例えばハイキングのように屋外で活動したり、あとは部屋で大音量の音楽をかけて踊ったりもしています。意識的に一人で何かすることが多いですかね。自分自身のために何かしてあげることは大切だと思っています。

▲ 左)夏には地元民や観光客で賑わうキャンプスベイ。右)ビーチに並ぶカラフルなビーチハット




——暖かい気候なのは良いですよね。今私の中で、長期休暇があれば訪れたい国No.1かもしれません(笑)。Ashleeさんがデザイナーを志そうと思われたきっかけはどういったものなのですか。

高校の科目でデザインというのがあって、とても好きだったんです。いつも全力で取り組んでいましたね。クロシェ編みは母が教えてくれたんです。当時はテーブルや照明、植木鉢のカバーやオットマンまで、なにをデザインするにしても常にクロシェ編みを取り入れるようにしていましたね。その後、インダストリアルデザインを学んで優等の成績で卒業しました。そのお陰でSouthern Guild(サザンギルド)と呼ばれるギャラリーで、最終学年の年に温めていたとびきりのアイデアを展示する機会を頂けたんです。そのときに、大きなクロシェ編みのシャンデリアをデザインしたのですが、展覧会が開かれていたその夏の夜に、私はこの仕事を一生やっていきたいと思ったんです。

写真 写真 ▲ 最近までは全て自身の手作業でOttomansを制作。写真はDune BeigeとOnyx Black *クリックで製品ページへ




——このクロシェ編みはお母さんから教わったものなのですね!素敵なお話しですね。因みにデザイナー/アーティストでAshleeさんに影響を与えてくれた方はいらっしゃったりしますか?

はい、Ruth Aiko Asawa(ルース・アサワ)さんという方です。彼女は日系アメリカ人のアーティストさんなのですが、毎日のように刺激を貰っていましたね。彼女もまたクロシェ編みを得意としていましたが、使用している素材は金属性のワイヤでした。彼女のデザインとその据え付けはとても美しくて、亡くなった後も、彼女の作品の展覧会は世界中でいまもまだ催されているくらいです。とても独創的で魅力的で、彫刻的でもあってとても深みがあるんです。




——クロシェ編み。奥が深いですね。知れば知るほど興味が湧いてきました。最近は主にどういった活動をされているのでしょうか。

ほとんどの時間をスタジオで過ごしています。 新しい素材を見付けた、写真を飾ったり、スタジオであーでもないこーでもないとやっている時間は結構大好きです。歌う事が好きなのですが最近ピアノも弾き始めたんですよ。時間があればヨガにもよく行きますし、家族や友人に料理も。




——Ashleeさんのこだわりであったり、普段大切にしているものを教えてください。

ゴールデンレトリバーの愛犬ルビーと私の家族です。特に、私にキャリアパスを示してくれて、学業の資金を提供してくれた母にはとても感謝しています。大事な人たちと過ごす時間は大切にしていますし、彼らが幸せであることは私にとってとても大事なことです。それと自分のやっている仕事であったりデザインであったりを他の皆さんに共有して、彼らにも同じことが出来るのだとインスピレーションを与えることが出来たら良いなと考えています。あきらめずに貫き通せばなんだって出来るんです。


——日本の皆さんにあなたのデザインに何を感じて貰いたいですか?

私の作品を感じたり見たりしたときに、人々にどこか懐かしさを感じて貰いたいです。技術革新の中にあって、手作りの伝統を失いつつありますからね。触れたり、感じたり、自分自身や他の人とその体験を共有することを忘れないで欲しいです。




——Ashleeさんのデザイン美学を教えて頂けますか。

誠実。愛情を込めた制作。機能性。丁寧な作業。非対称で高品質。でしょうか。全て手作りですので皆さんに長く愛用頂きたいという気持ちを一つ一つ込めて制作しています。




——デザインするうえで常に目標や指針とされているモットーをお聞かせください。

私は岩の上の飛び回っている類人猿。ここには少しの間しか滞在しません。勇敢になってください、新しいことに挑戦してください、親しい友人と冒険に出かけ、家族を尊敬し、よく食べ、身体に気を付けてください。ああ、それとできる限り頻繁に彼らを愛していると伝えてあげてください!




——この記事を読まれている皆さんも間違いなく南アフリカという国に対して興味が湧いてきていると思いますが、“南アフリカらしいデザイン“とはどういったものだと思いますか?

南アフリカのデザインは実験的で、カラフルで、楽しくて、大抵の場合は伝統を重んじています。以前までは、南アフリカは常に他の国からインスピレーションを受けてきました。ですがここ数年、南アフリカのデザイン産業は独自のアイデンティティを発展させ、今では他の国々が南半球にインスピレーションを求めにきています。ここには、爆発的な才能がたくさんあります。いまこの時代に南アフリカでデザイナーになるということは、とてもエキサイティングです。

ボカープ 工芸品 ▲ 左)ポップカラーに塗られた壁がフォトジェニックなボカープ地区 右)露店で売られている工芸品も色使いがとても綺麗




——新しいプロジェクトかなにかも始動されているようですね。詳細言えないと思うのですが、少しだけここの皆さんに教えて頂けませんか?

今のところはオットマンに集中しています。購入していただいたお客さんは皆さん満足いただけているようで、とてもよい反応を頂けています。作り手としてこれ以上に嬉しい事はないですね。 また今度ドバイにあるパーム・アイランド(ドバイ沖合いに造られたヤシの木を模した人工島群)のビーチクラブでプロジェクトが始動出来るかもしれません。シャンデリアを2つと、10個の大きなオットマンをクロシェ編みしてこようと思います。




——最後に、日本の皆さんに一言あればお願いします。

中小の工芸に情熱を傾ける方々や職人さんたちを支援してあげてください。 Studio Lloydは常に製品の細部にまで注意を払い、製品に価値を与え、お客様の心を動かします。今の時代、長く愛用していただける製品であることは非常に重要です。手作り・良質・ロングライフであることが、素敵な製品と温かい幸せな家庭を作るためのレシピです。






写真 Ashlee Lloyd
家具・プロダクトデザイナー
南アフリカのヨハネスブルグで生まれ、ケープタウンで幼少時代を過ごす。Studio Lloyd創立者、兼クリエイティブディレクター。
「ものづくり」への愛を強く持ち、良質なロングライフの製品づくりにこだわる。Ashleeの代名詞ともいえるクロシェ編みであらゆる製品群を創り出す。現在は主にOttomanとシャンデリアを中心に制作活動を行う。


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