Signature Product of the Month | vol.7 | Salvador Clock

サルバドールクロック

Signature Product = LOGAN atelierのトレードマークとして、自信を持って皆さんにお届けできるデザイン家具や製品をご紹介していく特集。

vol.7では、画家であるサルバドール・ダリの最も有名な作品の一つでもある「記憶の固執」に描かれている柔らかく溶けている時計からインスピレーションを得て製品化に至ったWallabyの『Salvador Clock(サルバドールクロック)』をご紹介します。

絵にあるものを忠実に再現するのではなく、あくまでも使い勝手に配慮し、またトレンドでもあるミニマリズムを取り入れ現代風にアレンジ。これまでの、掛けるか、置くかの選択肢しかなかった時計に新たに引っ掛けるというジャンルを作り出しました。

今回の特集に合わせてコレクションに新たに追加された作品も併せてご紹介していきたいと思います。




——まずは自己紹介をお願いします。

1980年にウクライナのキエフで生まれました。ひとりっ子で他に兄弟はおらず、身の回りにある色々な材料を使って絵を描いたり、工作をしたりと、多くの時間を一人で過ごしました。

家族と一緒にイスラエルに引っ越したのは12歳のときです。異文化、異言語の新しい国での最初の数年間は、私たち家族にとっては簡単なことではありませんでした。そんななかで、絵は自己表現のための最良かつ唯一の方法となりました。

高校卒業後は建築を学びたいと思いエルサレムにあるアート&デザインのアカデミー、ベザレルのオープンキャンパスに行きました。ですが校内を歩いているうちに道に迷ってしまい、誤って関係のないクラスにはいってしまったのです。そのクラスでは製品開発や素材、技術、そしてイノベーション開発について話をしていました。当時の私にはどういった分野のクラスだったのかは分かりませんでしたが、私がやりたいのはこれだ!と咄嗟に感じていました。

工業デザイン科を卒業後、国内では大手のデザインスタジオで10年以上働き、イスラエル国内はもちろん、海外の業界向けにもさまざまな製品を開発しました。他の製品開発をしながらも私の中では金属加工が常に好きな分野でしたね。何百もの製品を開発した後でも、2次元レイアウトから3次元製品への移行プロセスは、新しいものを作るたびに驚きがありました。

そして数年前、各種金属を用いて形づくられたユニークでスタイリッシュな雑貨を販売するオリジナルブランド”Wallaby”を遂に立ち上げるに至りました。

写真 写真 ▲ (左)幼少期のデザイナーShelly (右)サルバドールダリの作品「記憶の固執」




——日本製品についてどのような印象をお持ちですか。

以前私が教わっていた教員の一人がこんなことを仰っていました。イタリアのデザインが最も美しく、イスラエルのデザインが最も速く、日本のデザインが最もスマートだと。まったくその通りだと思います。日本のデザインだけが『ミニマリズム』という概念を一時のトレンドとしてとらえているわけではなく、きちんと彼らの哲学の中に組み込まれていますよね。




——それでは今回特集記事を組ませて頂いた作品のデザインコンセプトを伺わせてください。

暫くの間、ダリの作品で有名な溶ける時計の現代版を形にしたいと思っていました。幾通りもスケッチを描いてみたりしたのですが当時はどれもこれもパッとしなくて一旦諦めていました。

コロナによって緊急事態制限がかかった際に転機が訪れました。過去のプロジェクトに立ち戻って俯瞰して眺める時間が持てたのです。再びスケッチを描き始めたところ今のデザインが突然降ってきたんです。

写真 ▲ 普段なかなかお目にかかる事の出来ないコンセプト段階のラフスケッチ




——色や形、素材選定における開発秘話などありましたら是非。

コンセプトの初期段階では時計をテープか何かで棚に引っ付けるか、もしくは上に本を並べて重しにしたらよいのではないかなどと考えていました。ところがサンプルを作ってみたところ棚に引っ掛けておくだけで意外と安定感があることが分かり、現在の形に至っています。




——作品名の由来は。

写真 作品名を考えるのはとても簡単でしたね。(笑) お察しの通りにこの時計はサルバドール・ダリにちなんで名付けました。


——ものづくりをする上でベースとなっているコンセプトはありますか?

いつも自分の作品を使っている人を想像しています。彼/彼女は何歳くらいなのか。なぜ私の作品を買ったのですか。家のどこに置くのか。それはなぜなのか。そして、3年後もこの作品を好きでいてくれているか。


——創造性の原点・デザインインスピレーションの源は?

良い雰囲気。幸せな瞬間を皆にもたらしたいという欲求。そして沢山のチョコレートでしょうか(笑)




——同コレクションの中でデザイナーとして、もしくは一個人としての推しがあれば教えてください。またデザインの中で日本の皆さんに一番見て貰いたい点はどちらになりますか。

そうですね。個人的には黒のダイヤルに金の針の組合せが好きですね。スタジオに飾っているのもこちらになります。皆さんに見て頂きたいのはなんといっても取り付けのシンプルさでしょうか。もう壁に穴を開ける必要もありません。

写真 写真




——一般的に、イスラエルのデザインに一貫した特徴はありますか?

イスラエルのデザインは、まさにイスラエルの人々と同じように、非常に折衷的で感情的だと思います。




——それでは、最後に日本の皆さんに一言あればお願いします。

私は日本の文化と日本のデザインをとても尊敬していますので、ローガンアトリエさんのサイトで取り扱っていただけてとても光栄に思います。







写真 Shelly Agronin
プロダクトデザイナー
ウクライナに生まれ、両親の都合で幼い頃にイスラエルへ移住。様々な商品開発を進める中で金属加工への強い興味が湧き、以降キャリアを通じて金属加工技術の知識を蓄える。 特にドローイングなど2次元の世界から3次元の製品化へのプロセスは彼女を虜にし、顧客にも同じ体験を通じて感動を共有したいと思いからWallabyの原点でもある折りたたみ製品を次々と生み出す。


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