Signature Product of the Month | vol.8 | Arc Pendant

アークペンダント

Signature Product = LOGAN atelierのトレードマークとして、自信を持って皆さんにお届けできるデザイン家具や製品をご紹介していく特集。

念願がかない、1年間温めていた商品をLOGAN atelierにて取り扱う事となった記念に特集をさせていただくこととなりました。SNSの方でもご紹介するたびに反響を頂いておりましたArc Pendantをvol.8としてお届けいたします。




——まずは自己紹介をお願いします。

LAWA DESIGNは、もともと建築家だった2人(Allen ShakirとEwa Bryzek)で設立したデンマーク拠点のデザインスタジオです。

私(Allen)の生まれはブルガリアで、デンマークで育ちました。現在は32歳です。子供の頃から絵を描いたり、物語を書いたり、映画を作ってみたりと創作意欲の強い子でしたね。成人してからは建築学に情熱が一気に傾いて没頭して。その時にEwaに初めて会ったんです。ちなみに2012年ころから建築家として実地経験を積んでいました。

Ewaはポーランド生まれの31歳。そもそもは建築専攻の学生インターンシップで半期だけデンマークに来ることになっていたのですが、その時に私と出会って卒業後もデンマークに残ることに決めてくれました。それで現在は2人でコペンハーゲンのアパートで暮らしています。

LAWAとしての物語は5年前に趣味で始めたプロジェクトがきっかけになっています。リビングに照明が欲しかったんです。最初からこんな照明が欲しいなというデザインも特になかったのですが、漠然とですがなにかしら特別なデザインであって欲しくて(笑)。しばらくのあいだずっと探していたんですが結局ピンとくるものが見つからず、なんとなく自分でスケッチしてみようかなと。次々にスケッチ画をかいていると今度はEwaも一緒になってデザインし始めて。それで3Dモデルをつくったり、プロトタイプを作成したりどんどん話が進んでいって。あーでもない、こーでもないとやっているうちに、「あ、これだ」と。そうして出来上がったのがArc Pendantなんです。随分と遠回りして時間がかかってしまいましたが、結果的にアイデアをスケッチから実際の製品に落とし込むまでのプロセスがとても刺激的で学びも多くて、なによりも楽しかったんです。

そうして次に、光と影とで遊ぶミニマルな壁時計Delta Clockをデザインして、昨年、私たちの最新作であるTwist Shelfを発表しました。単純なひねりから創造されたシェルフと磁気ボードの機能性をもった、2-in-1の製品です。




——日本製品についてどのような印象をお持ちですか。

日本のデザインはとても好きです。たとえば、インテリアデザインを賢く利用して小さな部屋を大きく見せたりだとか、ごくわずかなものを最大限に活用する技術を良くご存知ですよね。あるいは、細部にまで気を配るだけで、シンプルな商品をとても便利なものに変えてしまうことも。




——それでは今回特集記事を組ませて頂いた作品のデザインコンセプトを伺わせてください。

Arc Pendantは伝統的なドームランプを現代的に取り入れたものです。接着剤やネジを一切使用せず、グリッド構造にまとめられた“円弧”の薄いパーツで構成されています。

落ちる光は、特定の領域を照らします-たとえば、ダイニングテーブル。しかし、従来のドームランプとは異なり、Arc Pendantは同時に上向きにも光が漏れ、天井と周囲の部屋全体を柔らかく照らします。

光源自体を露出することなく、できるかぎり広い空間を照らすように設計されています。真下から、もしくは真上から覗かない限りは、電球のまぶしさに目がくらむことはありません。

また、電源のオン/オフによって照明の印象が大きく異なることにも気が付くでしょう。オフの時にはさりげなく、周りの環境と調和します。オンにすると、ランプシェードがさまざまな光のグラデーションによって彩られます。

写真 写真 ▲ Arc Pendantの特徴の一つでもある光の広がる様子 *クリックで製品ページへ




——色や形、素材選定における開発秘話などありましたら是非。

冒頭でも少し触れましたが、Arc Pendantは最初、自分たちのためにデザイン設計しました。自宅アパートにぴったりのランプが欲しかったのです。ある意味でこのArc PendantがなければLAWA DESIGNの誕生が遅れたか、もしくは今のLAWAはなかったかもしれませんね。

当初プロトタイプはすべて合板で作っていました。暖かいトーンと光の伸びがとても美しかったですから。そうこうしているうちに、よりミニマルなBlackとWhiteも誕生しました。Whiteはポリスチレン製で半透明の材質となりますので、他の2点と比較しても空間をより一層に明るくしてくれますよ。

写真 写真 ▲ Arc PendantのWhiteとBlack。Natural Plywoodと共に同時発売 *クリックで製品ページへ




——製品化に際して最も重要な工程、もしくは特に意識している点などあれば。

この製品は生産上の正確性が非常に重要です。すべてのピースが寸分違わずに綺麗にフィットしなければなりませんからね。ジョイントが細すぎるとピースがフィットしませんし、一方で緩すぎると、ぐらついて不安定になります。これを適切なところをに落とし込むために、多くの時間とプロトタイプ作成が必要でしたね。




——創造性の原点・デザインインスピレーションの源は?

私たち建築を生業としていますので、生み出す作品は必然的にどれも建造物の構造に酷似していると思います。使用する素材は軽くて薄いかもしませんが、とても丈夫なものです。上に座っても壊れませんよ(笑)




——この製品の特長を教えてください。

写真 照明器具はただ可愛いだけではダメだと思っています。一つの電球の灯りを、デザインというフィルターを通してなにか特別で魔法のようなものに変換する必要があります。これは私たちがArc Pendantで達成しようとしたことの一つです。


——同コレクションの中でデザイナーとして、もしくは一個人としての推しがあれば教えてください。

どれも良いのですが、やはり一番は自宅のためにデザインをしたオリジナルのPlywoodでしょうか。先述の通りにWhiteの素材が故の透明感も素敵ですよ。


——一般的に、デンマークのデザインに一貫した特徴はありますか?

私たちにとってデンマークのデザインとは、自然の素材を用いて、細部まで徹底的にこだわりぬき、実用的でありながらミニマルな作品でしょうか。デンマークのデザインと日本のデザインには類似点がありますよね。皆さんにとって、私たちのデザインの中に同じ“美”を感じて頂けたらと願っています。




——それでは、最後に日本の皆さんに一言あればお願いします。

日本の皆さんが私たちのデザインの中に、潔さと実用性、そして遊び心を感じて頂けることを心から願っています。きっとそれらは皆さんの日常に何かしらの刺激を与えてくれると信じています。







写真 Allen Shakir(左)とEwa Bryzek(右)
家具・プロダクトデザイナー
Allenはブルガリア、Ewaはポーランド出身。お互いに建築家として活躍後に共同でLAWAを設立。”潔さ”、”実用性”、”遊び心”をモットーに、デンマークの風土・文化を取り入れたデザインに定評あり。
Arc PendantでELLE Decoration Polska’s design competition for young talents 2015を受賞。デザイナーとしてもDanish Entrepreneurship Award 2015でノミネートされ、各種デザイン雑誌にて特集が組まれるほど今後が期待される注目のデザイナー。

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