Signature Designer of the Month | vol.9 | Floortje Roeper

フロールチェ・ローパー

Signature Designer = LOGAN atelierのトレードマークとして、また一人の人間としても尊敬できるデザイナー個人をピックアップして皆さんにご紹介していく特集です。デザイナー/作り手の人となりを知り、普段お店には並ぶことのないデザイン細部に至るまでの想いを理解し、「ものづくり」への愛を感じて頂く事で、皆さんが少しでも彼らのデザインを長く愛用するきっかけの一助となるように始めた企画です。

Vol.9でご紹介するのはオランダ出身のアーティストFloortje Roeper(フロールチェ・ローパー)さん。自然を愛し、自然と共に生活する彼女は常に感謝と敬意を忘れず、心の豊かさを兼ね備えた女性。睡眠や栄養などセルフケアにもこだわりをもっています。

作品であるアートプリントが先行しているためにアートフォトグラファーのイメージが強いのですが、ブランドコンセプトからスタイリング、グラフィックデザインと視覚的な表現を強みとしたブランディングパッケージの提案をしています。

私生活からアートに対する真摯な姿勢まで、とても人間味溢れた魅力的なFloortjeさんの記事になりました。ぜひご覧ください。




——まずは自己紹介をお願いします。

私の名前はFloortje Roeper(フロールチェ・ローパー)。フォトスタイリングとアート写真撮影のクリエイティブスタジオFloortje.louiseのオーナーをしています。オランダ北部にあるテセルという島で生まれ育ち、現在は33歳。テセル島は3分の1が自然保護区として指定されているほどに大変美しい島です。この島で育ったお陰で自然美に対する敬愛の念が生まれたといっても過言ではないと思います。




——あなたの国について教えてください。

▲ 日本人が思い浮かべるオランダといえば、風車/チューリップ/チーズ/運河/木靴あたりでしょうか。ハールレムのある北ホラントは都市からのアクセスが良好でありながら豊かな自然に囲まれた美しい州のようです。

現在、私はオランダ北部にある都市ハールレムに住んでいます。

オランダは西ヨーロッパの小さな国で、リンブルフ州の南にある「丘」を除いて、ほぼほぼ平坦な土地がずっと続いています。この国の土地のほとんどは海抜が低く海水面の下にありますが、有名な「デルタワークス」(世界最大最強の治水構造物建設で、「世界8番目の不思議」との異名も)のおかげで、波で流されることなく平穏無事に過ごせています。私たちには豊かな文化があり、そして伝統がたくさんあります。この国の多くの人々は偏見なく、非常におおらかで心に余裕があります。

それとオランダは多様性に富んだ場所ですよ。たとえば、主要な都市では、さまざまな宗教的信念、政治的信念、性的指向を持ったあらゆる階層の人々がいます。平等と多様性に対する進歩的な姿勢で有名ですから。誰もが自分がなりたい人になり、自分がなりたい人と一緒にいる権利があります。

ハールレムはアムステルダムからわずか20kmの場所に位置し、多くの魅力を持つ素敵な歴史的な街です。歴史的建造物の多く立ち並ぶ壮大な旧市街が自慢です。肖像画の巨匠とも呼ばれる画家フランハルスを含む多くのアーティストが住んでいた町としても有名で、それに伴ってとてもたくさんの美術館やアートがあります!




——週末の過ごし方について教えてください。

私には、これをするとすぐにハッピーになれるというものが幾つかあります。それは日々の生活に必要不可欠なものです。まずは、日課でもあるモーニングコーヒー。今日という日におはよう!という感じですね。それに友人たちとの繋がりであったり、新しいインスピレーションを貰える新しい出会いも大切にしています。オンラインでもオフラインでも、無限の可能性を日々感じることはとても好きです。そして最後になりましたが重要なことがもう1つ。おいしいワインを持ってきてくれると、きっとまるで子供の様に喜びますよ。

自然の中での‘自分時間‘も大切にしています。一方で、活気のある町で過ごす週末は時に煌めきを与えてくれます。本質的に、これらすべて心が躍動する素敵な瞬間で自分の充電をしているんです。そうすることでリフレッシュして気持ちよく仕事をスタートできるんです。




——ブランド名の由来は?

Floortje Louiseは私の正式な名前です。私の作品は私自身、私の本質を表現するものですので、シンプルで純粋なものにすることにしました。姓名の中央にあるドットは、地球上のすべてのものを繋いでいることを象徴するものです。私たちは皆どこかで繋がっているんです。


——デザイナーになろうと決めたきっかけを教えてください。

私は昔から視覚的に物事を考える癖があり、頭の中でコンセプトビジュアルをひたすらに構築しています。徹底的に細かい部分まで見て、そして観察することで、深いところまでそのものの美しさを見れるのだと思います。

‘a hymn to nature(自然への賛美歌)’のアートプリントには、自然のありのままの美しさと、その背後に隠された芯の強さを収めています。日常の風景をまるで隠された秘宝かのように捉えることで付加価値を見出していくことは非常に魅力的な工程です。




——あなたに影響を与えたデザイナーはいらっしゃいますか?

特に思いつく方はいらっしゃいません。私のインスピレーションのほとんどは内面から来ています。感覚的なものと言いますでしょうか。ただ潜在意識レベルではCEREAL、Kinfolk、OpenHouseなどの雑誌、歌や曲、ダンス、周りにいる友人や家族、そして自然の中に身を置くことで日々インスピレーションは受けていると思います。


——最近の主な活動内容を教えてください。

現時点では、私のアートプリントを世界中の皆さんに見て頂くために必要なことを全てしています。 もともとfloortje.louiseはコンテンツ作成に焦点をあてたクリエイティブスタジオで、‘a hymn to nature(自然への賛美歌)’も今よりも大規模なフォトプロジェクトでした。ブランドのビジョンを捉えるために写真とグラフィックデザインを駆使して、視覚的なアイデンティティを作成することを強みとしています。ブランドがSNSのコンテンツを探している場合でも、製品画像を探している場合でも、私はこの魔法を創造することが大好きです。コンセプトからスタイリング、グラフィックデザイン、写真撮影まで、要件に合わせてブランディングパッケージを調整できます。




——デザイナーとしてのこだわりであったり、大切にしているものを教えてください。

人と自然への敬意を大切にしています。誰もが異なっており、独自の方法で豊かです。人々を狭い箱に入れないでください。それは私たち全員が仲良くなるのに役立ちます。ラベリングはあまりにも単純化しすぎています!

それとセルフケアは私の人生において切っても切り離せないものです。いくら肉体的な不快感に対処したからといって、自分を大切にすることがいかに重要かを知っています。私にとって栄養はセルフケアの素晴らしい形です。自分自身を気遣うためには、よく食べること。よく食べることは自分自身を大切にすることを意味します。スキンケアをもナチュラルで有機的なものを好みますし、良い睡眠習慣もとても重要ですね。


——日本の皆さんにあなたのデザインに何を感じて貰いたいですか?

アートは、それを体験したいと思っている人のためのものであり、自分の心の可能性を拡げてくれるものです。誰もが自分の好みや感情にこだわっているので、アートを定義するのは難しい概念だと思います。それぞれのアートプリントには、それが属する季節を定義する名前が付いています。私にとっては、それが自分のアートを説明するうえでの「唯一のもの」です。

LOGAN atelierからの補足] Floortje.louiseさんの作品にはご本人の意思を尊重しまして商品説明の記載はありません。これは、各アートプリントの名前から感じる季節感や雰囲気を皆さま自身で感じ取っていただきたいとの想いからです。ぜひ皆さま自身でアートプリントを視覚的にとらえて思いを巡らせてみてください。




——あなたにとってのデザイン美とは?

穏やかで、落ち着いていて、そして“本質に立ち返る”もの。


——あなたのモットーをお聞かせください。

パブロピカソの残した名言がすべてを説明してくれています。

“できると思えばできる、できないと思えばできない。これは、ゆるぎない絶対的な法則である”

ここで彼は引き寄せの法則に言及しています:私はあなたが説教することを実践するだろうと信じています、私たちの潜在意識の力は限られています。あなたがそれに心を向け、絶えずそれに向かって努力すれば、あなたは世界のすべてのものを持つことができます。この「知ること」は私に私の日常の力を与えてくれます。そして信じることによって実現するんです。そう、まるで魔法のよう。




——オランダのデザインに一貫した特徴はありますか? あなたのデザインにも反映されていますか?

私が思うに実験する意欲、しきたりや慣習への自由でゆるいアプローチ、そして新しいことに挑戦する遊び心でしょうか。オランダはほんの少しだけ階級社会が残りますが一般的には平等な社会です。イタリアなどで未だにくすぶっている格差社会とは異なり、この環境が有望な若手デザイナーがキャリア初期に芽が出る所以なのだと思います。

オランダのデザインは反抗的で自由奔放であると表現できますが、これが私のアートに本当に見られるかどうかはわかりません。どちらかというとスカンジナビアのデザインの最小限でクリーンな定義と組み合わされた、自由な精神の部分かもしれません。


——最後に日本の皆さんに一言あればお願いします。

まず、LOGAN atelierさんのように丁寧にデザイナーの意図を汲み取ってショップづくりをされている場で私の作品を取り扱ってくださることに感謝をお伝えしたいと思います。

日本の皆さまが‘a hymn to nature(自然への賛美歌)’をご覧になってどのような反応をされるのか非常に興味があります。また将来的には、flortje.louiseとして日本で多くの機会に恵まれることを望んでいます。






写真 Floortje Roeper
アートフォトグラファー/クリエイティブディレクター
自然界に息づくあらゆるエレメントに目を向け、季節サイクルの瞬間を捉えた作品を通して ‘a hymn to nature(自然への賛美歌)’を届けるオランダ発のアートフォトグラファー。

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